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身軽な旅を。

30リットルのバックパックに

最小限のものを詰め込んで、

旅した季節がありました。

魅力的な布とあわせて 20数キロを担ぎ、

長距離を歩きました。

軽ければ軽いほど

欲しいものに手が届いて、

旅路は輝いてゆく。

大げさでなく、

一人で海の外を歩く時には、

荷物の軽さが

生きるか死ぬかの境目にも

関わっているような気がして、

いつもそれを意識していました。

屋外スポーツをたしなむ方が

より軽量な道具を追求されるのも、

同じ理由でしょう。

日常的な危険を感じない日本に

戻ったあとの自室には、

要不要問わずの

沢山の荷物が詰め込まれていて、

何故だか捨てても捨てても、

減らない魔法でも

かかっているかのよう。

旅先で日々、起こり続けた

奇跡や偶然や成長が、

日常の中に起こりにくく、

その密度が低いのは、

荷物の多さに元があるような

気がしています。

平均近く天寿を全う出来ても、 (82歳として)

私の日常は、

わずか30,000日の旅路。

最近読了した

捨て方の本の中に、

『捨てられない理由のひとつには、

未来に同じ経験ができないかもしれない、

同じものを買えるお金を

稼げていないかもしれない不安がある』

と、ありました。

確かに、ポジティブな未来を

期待するほどに、

過去にはしがみつかず、

潔く捨てられるはずです。

不安が呼んでくるのは、

期待通りの顔をした不安でしょう。

それよりも身軽であれたら、

最初から持ち物が少なかったら、

失う不安と無縁なだけでなく、

素敵なものがやってきても、

躊躇無く

身近に引き寄せられる筈です。

終わりのある旅だと思うと、

今日は何を片付けて、

明日からの旅支度に

希望を乗せられるでしょうか。

…私はとりあえず、

貰い手のつかなかった本を

処分することにしました。


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